平成29年度事業報告

第1回授業研究会

平成29年度第1回授業研究会

平成29年6月19日(月)に群馬県立伊勢崎商業高等学校の 武井 康博 教諭により、第1回授業研究会が行われました。情報処理科の3年7組の音楽選択者12名による音楽Ⅰの「イタリア語の歌曲を歌おう」のテーマによりcaro mio ben」を教材とした歌唱指導が行われました。
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(1)授業説明(武井教諭)

 1学期は歌唱の授業を中心に行っている。これまで校歌や教科書に載っているJ-POPなどを教材として扱ってきた。1、2年生では音楽の授業がなく、中学校の音楽の授業から2年間のブランクがあるので、歌唱の技術的なことをまずは確認するようにしている。また、それぞれの曲に込められた気持ちを感じ取って歌うことで、自身の思いや意図をもてるようにしている。

今回は生徒にとって初めて本格的な独唱を扱う題材となる。1人でイタリア歌曲を歌うということに抵抗を感じている生徒もいるようである。しかし、実際に楽曲の練習に取り組むようになると、興味・関心を増して休み時間に廊下等で歌っている姿も見られた。今回の授業は独唱ということで、生徒それぞれでの音楽表現を追求していくことを目標とする。最終的には独唱で表現できるように、その手段としてまずはグループ3人程度で歌い、それを聴いてお互いにコメントをし合う。その後、「今度はこういう風に歌おう」など考えられるように支援をしていく。

題材の第1時ではイタリア語の読み方、言葉のもつ響きを考えられるようにした。第2時では、テノール歌手の演奏を聴いて、特徴のある歌声を味わえるようにし、テンポ感や歌い方の違いをまとめた。そしてグループで歌い方の工夫を話し合った。本時は、歌詞と旋律との結び付きをまずは全体で考え、自分の表現の糸口を見出し、最終的には自分の表現したいこと等をまとめて、独唱で歌ってどのように変わったかを見取りたい。初めての題材ということで未知数なところがあるが、いろいろなご意見を頂きたい。

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(2)研究協議

授業前に研究係から、研究授業を観る「研究協議の視点」を提示しておき、授業研究でグループになった時にそれぞれのグループで1~2つの視点を選びながら協議を行いました。

「研究協議の視点」

〇本時の目標は達成できていたか

〇課題の質やレベルは適切であったか

〇評価の計画は適切であったか

〇主体的・協働的に取り組む展開・内容になっていたか


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(3)指導・助言等

 島田 聡 先生(群馬県教育委員会高校教育課指導主事)※抜粋

 教師の意識付けについて、例えば「こうだよね、ここに注目するんだよ、ここを大切に歌おう」などの学習内容を生徒が意識して歌っていたか、これを考えていきたい。12人の生徒はいろいろなことを感じることができた。しかし、理解して感じるところまでもっていきたかった。何を理解するのかというと、歌詞の内容と関わらせた音楽を形づくっている要素についてである。

 配布させて頂いた中教審答申の「深い学びの視点」の3行目に「~知覚・感受したことを言葉や体の動きなどで表したり比較したり関連付けたりしながら、~このことが、~どのように音楽で表すかについて表現意図を持つこと、~」という文言がある。このことに注目してほしい。「世界に一つだけの花」を歌った時、AメロBメロでBメロに入った瞬間に雰囲気が変わった。そうした生徒の資質・能力があれば、もっと本時の授業の中で生徒は変わったのではないかと思う。

 伴奏のリズムを変えて演奏したことは、とても効果的な手立てであった。強弱についても同じように行ってみてもよい。旋律のもつ方向性や強弱、リズムについては、グループで長く時間を取り過ぎず、いったん終わりにして全体で確認したい。授業の後半は音がほとんど無かった。先生が伴奏を弾き始めたところで生徒の歌が聞こえた。音とともに学習が進むのではないかと感じる。

 本時の学習目標をどのように生徒と共有するかが課題である。どうやったら生徒が興味をもって授業の内容に食いついてくるかを考えるようにしたい。生徒が自分から学びに向かう姿勢を作るにはどうしたらよいのかということである。全員で歌った後に模範のカレーラスのCDを聴き、「みんなの演奏とCDは何が違うの?」という発問をし、「歌い方」という発言が出てくるような仕掛けも大切である。出てこないようであれば、「先生はこう思う」と修正をしてもよい。そこから「カレーラスの声に近づける為には何が必要なのか?」という仕掛けが必要となる。

 本時の内容である旋律のもつ可能性を探るのであれば「ジョルダーニがこの旋律線を作った秘密を考えよう」という問いを提示することも手立ての一つである。そうすることで、旋律と歌詞の内容がマッチしていることに生徒が気付くことができるような授業展開ができる。

 学習形態については、協働学習や対話的な学びと言われているが、単にグループ活動があればよいわけではない。グループで学ぶ必然性があるかどうかが大切である。それを点検してもらいたい。とりあえず4人で集まってやろう、というわけではなく、4人で集まってやらなければいけない学習内容がそこにあるかどうかを考えてほしい。1人で取り組んで解決できるような学習内容では、4人で取り組む必要はない。グループで活動して、話に花が咲いて時間が流れることがないようにしてほしい。協働的な学びや対話的な学びはこれからも注目されることになるので、その点を肝に銘じてほしい。音楽は協働的な学びや対話的な学びを設定しやすいが、ただ行っているのではなく、4人で行う必要があるから取り入れているという姿勢をもってほしい。
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参加者(敬称略 順不同)

廣澤 秀伸(前橋西)  清田 和泉(吾妻特支)  上田 裕信(太田東)  島田 聡(高校教育課)

朝倉 康雄(前橋西)       黒岩 伸枝(高崎)    野口 瑞穂(大間々)  鈴木香奈子(桐生南)

小川 唯佳(利根商業) 武井 康博(伊勢崎商業) 大小原美幸(高高特支) 松平 康子(尾瀬)

児玉 理紗(高崎女子)    斎藤真理奈(沼田女子)  勝山 英城(万場)     藤嶋 啓子(関学附)

髙木 佳子(伊勢崎清明) 大谷 邦子(下仁田)   西田えりか(赤城特支)   川上 寛子(玉村)

住谷 伴(前橋商業)   後藤 順子(前橋南)   中畑 香映(太田女子) 根岸 玲恵(西邑楽)

須田 玲子(渡良瀬特支) 坂本 将(館林女子)   井上 春美(藤岡中央)