平成30年度事業報告

2019年2月の記事一覧

平成30年度 第3回 授業研究会

平成31年1月29日(火)、群馬県立玉村高等学校において、川上寛子教諭による音楽の研究授業が、「箏を奏でよう~たまむら歌留多に ふしをのせて~」という題材名で行われました。



授業研究係より、
研究授業を観る「研究協議の視点」として、告示された次期学習指導要領を踏まえて次の3つを提案しました。

1.課題の質やレベルは、本時の目標を達成するために適切であったか

2.本時の展開で、主体的・対話的で深い学びとなっていた場面はどこか

3.「育成を目指す資質・能力」、「評価の観点のイメージ」、「新学習指導要領」と関連する指導と評価の計画はどこか



研究協議では、各グループから以下のような意見が出されました。

・授業全体を通して生徒と教員との対話が常にあってよかった。それが主体性につながっていた。

・生徒の発言を受けて展開につなげ、生徒の自己肯定感を高めていて、生徒が自分たちで取り組みたいという気持ちも高まっていたと感じた。

・イメージを言葉にすることの難しさを感じた。内容を深めようとするとさらに課題があると思われるが、本時では生徒の実態に合わせた指導となっていた。

・生徒の「馴染みがある」という発言の部分を取り上げて、深めてもよかったと感じた。

・音楽の授業以外で、生徒がもっているイメージを生かしたり深めたりできるのがよい。教科横断的な授業としても生かせるもので、様々な深まりがあった。

・生徒と教員との関係性がとてもよく、その対話で授業内容が深まっていたが、生徒同士の対話による深まりがさらにあるとよいと感じた。

・楽器環境が整っていて、聴き比べなどができて、授業中の生徒の発言も多く、雰囲気よく進んでいた。

・地域と関連する教材を使って題材を指導し、学習するのがよかった。生徒それぞれがイメージをもつことは、トレーニングのように指導していくと、さらに音楽の言葉の広がりが出てきたり、音楽を形づくっている要素についても他の題材でも活用できたりすると感じた。

・歌留多の札を読む際に、生徒も教員も音階に合わせて読み方が変わっていたので、それを創作の学習の際に生かせる方法を考えていきたい。

・教員が「次はこれをやる」と伝えるのではなく、「次はどうする?」ときいて授業を進めていたことが特によかった。

・生徒指導がよく行き届いていて、学校のよさが伝わった。教員の温かみが感じられた。

・箏の音色を大切にしていることが、生徒の演奏に表れていた。

・楽しい授業で、授業の展開の仕方に工夫を感じた、生徒の指名の方法がよかった。

・評価が難しいと感じた。

・全員がさらに学習内容の中に入っていくという意識をもてるようにすることも大切だと感じた。

・生徒が意見を出しやすい雰囲気だった。

・生徒が、感じ取った音階の雰囲気を説明する際の教員の言葉かけがよかった。

・音階選びを範唱と一緒に行えたのがよかった。

・楽器の準備などが大変だが、生徒も仕組みが分かると楽しいと感じられると思った。しかし時間配分が難しい。

・生徒指導と良い雰囲気の指導の境目が難しい。

・生徒から「中国っぽい」という発言が出る雰囲気や、感性がとてもよいと感じた。

・箏にシールを貼ったり、3列に並べたりするなど、生徒の目線での配慮がされていた。

・今後、歌留多の言葉から創作を行うことは難しいように感じた。

・生徒が移動する場面や唱歌の場面で、初めから班として何を行うのかを決めておいた方が、学習がスムーズだったように思う。

・それぞれの調子のイメージを初めに確認して知識を身に付けてから、歌留多を選んでもよかった。

・生徒全員とさらにやりとりができるような工夫が必要だと感じた。

・グループの評価になってしまう心配もあり、その評価の方法も難しいと感じた。


・「ふしづくり」までは到達できなかったが、歌留多に合った音階を選べる流れは適切だった。

・実際に試しながら選ぶことで、聴く→考える→組み立てるという展開ができると感じた。

・教員が生徒とうまくやりとりをしながら授業を進めていた。我慢強く、コミュニケーションを大切にしていた。

・朗読しながら、それぞれの調子の音階の箏を弾く場面は、本時の授業で生徒が最も集中していた。

・40名弱の生徒だったが、教員が生徒全体をよく見て、ぞれぞれの反応を拾っていたため、生徒の数はもっと少なく感じた。

・「さくらさくら」の弾き比べは、これまで練習してきたからこそ、生徒の反応がよかった。

・活動の自由さの中に、生徒が集中したり生徒の心が動いていたりするタイミングが何度もあった。

・教員のポジティブな言葉かけがよく、生徒の自然な関係が、生徒の心を開いていた。

・創作の手順を問いかけて、生徒から挙がった意見を示すという手立てが適切で、生徒の実態に合っていた。

・板書がシンプルで分かりやすかった。

・音の特徴を捉えるための環境づくりや授業展開についても必要だと感じた。

・内容や質は適切だったが、教員のやりたいことが多過ぎてしまった印象だった。

・「試してみよう」という場面が、もう少しスマートになれるとよかった。

・「さくらさくら」を各調子で演奏するのは、最後の1フレーズでも変化が感じられるため、その部分だけでもよかった。

・イメージを言葉にしたり音にしたりする学習は、レベルの高い内容だったと感じた。

・生徒は学習のゴール地点が見えないまま教員についていっていたように思う。

・生徒の発言は質が高いものも多かったが、そうでない生徒もいた。

・どんな風に「ふし」を付ければよいかということを、さらに具体的に示せるとよかった。

・創作は、言葉に対する「ふし」なのか、全体的なイメージなのかが分からなかった。

・各調子の音を聴いて、生徒の中にイメージはできていたように思う。

・授業内容の理解が困難な生徒に対する言葉かけや、生徒の発言の仕方がよく、対話的な授業だった。

・授業で扱っていた3つの調子は似ていたが、これらを選んだのはどうしてか疑問に感じた。調子の性格の異なるものを選んでもよかった。

・調子の雰囲気について、「少し違う」という印象では、日本らしさ、郷土の音という観点から選択することは難しいと感じた。

・歌留多も8種類あり、多いように感じた。

・箏は音が限定されていて創作を行いやすいと感じた。

・楽曲のまとめ方や音の着地点に、日本らしさを出せるとよい。



研究協議後の指導・助言では、新潟大学教授伊野義博先生、群馬県教育委員会より島田聡高校教育課指導主事、本部会より上田裕信副部会長、大熊信彦副部会長から、それぞれ今後の参考となる貴重なお話を頂きました。

詳細は研究紀要を参照下さい。

参加者
(敬称略 順不同)

清水 郁代(吉井)    大熊 信彦(太田女子)  上田 裕信(太田東)  島田  聡 (教育委員会)

勝山 英城(万場)    兒玉 理紗(高崎女子)  住谷 伴(前橋商業)  黒岩 伸枝(高崎)

引田 麻里(市立太田)  橋詰 詩織(太田女子)  角田 幸枝(榛名)   五十嵐 桃子(長野原)

森田 尚子(前橋東)   武井 康博(伊勢崎商業)    安斉 太(高崎商業)  鈴木 香奈子(桐生南)

小川 唯佳(利根商業)  東 喜峰(前橋)     須田 諭美(吉井)   伴野 和章(太田東)

近野 裕子(伊勢崎清明) 藤嶋 啓子(関学附)   井上 春美(藤岡中央) 野口 瑞穂(大間々)

小川 良介(四ツ葉学園) 松平 康子(尾瀬)    川上 寛子(玉村)   坂本 将(館林女子)

文責:坂本 将(館林女子)