平成30年度事業報告

事業報告

H30年度 講演会

平成30年度講演会


 平成31年1月29日(火)14:00~群馬県立玉村高等学校において、新潟大学伊野義博教授による「口唱歌から展開する音楽教育」という演題で講演会が行われました。


唱歌(口唱歌)とは楽器の旋律・リズム

に一定の音節をあてて口で唱えることである。例えば、太鼓で「ドドンコドンドン」と口で唱えれば、音色やリズム、奏法などを丸ごと伝えることができるとても便利なものである。日本音楽の伝統や文化を伝承するために使われてきた。

小学校音楽科の学習指導要領解説では、口唱歌を活用するよう示されており、中学校では言葉と音楽との関係や、姿勢や身体の使い方についても配慮するとともに、口唱歌を用いるよう示されている。このように、小中学校で学びを経た生徒が高校に入学してくることを踏まえ、高校の音楽の授業を考える必要がある。高校の解説では、音楽のそれぞれの特徴には、音楽を形づくっている要素による特徴、各音楽に固有の発声法・歌唱法、口唱歌、楽器及びその奏法や調弦法、記譜法などがあると示されている。口唱歌は日本の中だけで留まるのではなく、そこから見えてくるグローバルな視点をもてるように、学校教育の場で多く用いられるように求められている。

口唱歌は、大きくソルミゼーションとして捉えることができる。音楽の演奏に密着し口頭で伝えられる場合(口頭性)や、楽譜的機能をもつ場合(書記性)がある。ソルフェージュの一環として音楽教育の中に取り入れられたものとしては音名唱や階名唱があるが、日本のソルミゼーションは口唱歌だと言える。雅楽や能楽、民族芸能の楽器として、太鼓や箏、三味線などの楽器の習得に口唱歌が使われてきた。教育の現場で考えられている唱歌は、図で言うならば、音色唱法の旋律唱法、乞一唱法、音色唱法のリズム唱法だ。

実際に謡の鼓、箏の曲の口唱歌を確認しながらエア演奏してみました。

・謡《松虫》

・箏曲《さくらさくら》

・箏曲《六段の調》

音楽授業のパラダイムを転換するには、その一方向性として図のような形を提案する。まず、次の四つの視点である。

体験や活動を主としてきた授業を深い経験につなぎ、音楽性を深化させること
歴史の点描ではなく文化変容へと視点を転換し、音楽や文化を通史的に捉えること

 ③固有性と共通性といった視点を推進し、俯瞰的な視野を持った横断的な授業構成をすること
④三点比較など、音楽を複眼的に観て、音楽文化の多様性と創造性を学ぶこと

このためには、教授Teachingから対話Dialigue、さらにTrialogueへと授業を変えていくことが必要となろう。

口唱歌の教科指導や教育においての可能性から今後授業で求められる展望まで、先生方が交流を深め学び合いや研究することができる環境を益々充実させ、他県との交流にも繋げて行けるような講演会となりました。詳細は音楽研究をご覧下さい。

 参加者
(敬称略・順不同)

清水 郁代(吉井)    大熊 信彦(太田女子)  上田 裕信(太田東)  東 喜峰 (前橋)

住谷 伴(前橋商業)   森田 尚子(前橋東)   兒玉 理紗(高崎女子) 須田 諭美(吉井)

黒岩 伸枝(高崎)    安斉 太(高崎商業)   伴野 和章(太田東)  橋詰 詩織(太田女子)

斎藤真里奈(沼田女子)  坂本 将(館林女子)   野口 瑞穂(大間々)  紺野 裕子(伊勢崎清明)

井上 春美(藤岡中央)  勝山 英城(万場)    五十嵐桃子(長野原)  川上 寛子(玉村)

引田 麻里(市立太田)  藤嶋 啓子(関東学園)  鈴木香奈子(桐生南)  小川 唯佳(利根商業)