平成30年度事業報告

事業報告

第20回音楽部会演奏会 歌劇「みづち」

 二年に一度開催している音楽部会演奏会が、去る平成31年2月10日(土)16:30から、高崎シティーギャラリーコアホールにて、満席のお客様をお迎えして開催されました。

 出演者全員の記念写真


 今回の公演では押黒族に捕らえられたみづちを小太郎が救出するという脚本の丹治富美子先生の構成はそのままに、日照りに苦しみ天に祈る人たちや、弟の無事を願いながら送り出そうと葛藤する姉や、小太郎のために黒髪を切り落としてまでも共に戦おうとする夕月姫の心情などを、繊細な和音を用いて表現した白樫栄子先生の音楽に焦点を当てて公演に臨みました。


 昨年八月に開催された夏季研究会では、作曲の白樫栄子先生を講師にお招きして、作曲家の観点からの解釈と音楽表現についての講習をしていただきました。そのため、特に第三幕の最後の合唱が今までの公演とは異なり、歌劇のクライマックス(コーダ)としての高揚感を押さえ、豊かで深い感謝に溢れた祈りの音楽(コラール)として演奏されました。今回の公演でも脚本の丹治富美子先生と作曲の白樫栄子先生にお越しいただいていたため、舞台上でご紹介させていただきました。


 みづちが救出され、村に豊かな実りと平和が戻ってきたことへの感謝の合唱の場面では、客席のあちこちで涙を拭う人たちの姿が見られました。特に練習会場として大変お世話になった高崎高等特別支援学校の生徒さんを多数お招きしましたが、彼ら彼女らの頬を伝わる涙には本当に心動かされました。


 小太郎の恋人の夕月姫を演ずる田中ちひろ先生(高高特)と、小太郎を演ずる塚田孔右先生(太田工)


 (右から)みづちを救出する方法を授ける黒姫を演ずる大小原美幸先生(高高特)、黒姫の供人で鳥の化身として小太郎の道案内をしてきた小川唯佳先生(利根商)、兒玉理紗先生(高女)、斎藤真里奈先生(沼女)


 指揮・演出の朝倉康雄先生(前橋西)と、合唱の出演者


 雨乞いの祭りの中で踊る村人たちを演ずる合唱メンバー


 出演者、伴奏・打楽器、音響・照明、受付、役員総勢46名での記念写真

H30年度 講演会

平成30年度講演会


 平成31年1月29日(火)14:00~群馬県立玉村高等学校において、新潟大学伊野義博教授による「口唱歌から展開する音楽教育」という演題で講演会が行われました。


唱歌(口唱歌)とは楽器の旋律・リズム

に一定の音節をあてて口で唱えることである。例えば、太鼓で「ドドンコドンドン」と口で唱えれば、音色やリズム、奏法などを丸ごと伝えることができるとても便利なものである。日本音楽の伝統や文化を伝承するために使われてきた。

小学校音楽科の学習指導要領解説では、口唱歌を活用するよう示されており、中学校では言葉と音楽との関係や、姿勢や身体の使い方についても配慮するとともに、口唱歌を用いるよう示されている。このように、小中学校で学びを経た生徒が高校に入学してくることを踏まえ、高校の音楽の授業を考える必要がある。高校の解説では、音楽のそれぞれの特徴には、音楽を形づくっている要素による特徴、各音楽に固有の発声法・歌唱法、口唱歌、楽器及びその奏法や調弦法、記譜法などがあると示されている。口唱歌は日本の中だけで留まるのではなく、そこから見えてくるグローバルな視点をもてるように、学校教育の場で多く用いられるように求められている。

口唱歌は、大きくソルミゼーションとして捉えることができる。音楽の演奏に密着し口頭で伝えられる場合(口頭性)や、楽譜的機能をもつ場合(書記性)がある。ソルフェージュの一環として音楽教育の中に取り入れられたものとしては音名唱や階名唱があるが、日本のソルミゼーションは口唱歌だと言える。雅楽や能楽、民族芸能の楽器として、太鼓や箏、三味線などの楽器の習得に口唱歌が使われてきた。教育の現場で考えられている唱歌は、図で言うならば、音色唱法の旋律唱法、乞一唱法、音色唱法のリズム唱法だ。

実際に謡の鼓、箏の曲の口唱歌を確認しながらエア演奏してみました。

・謡《松虫》

・箏曲《さくらさくら》

・箏曲《六段の調》

音楽授業のパラダイムを転換するには、その一方向性として図のような形を提案する。まず、次の四つの視点である。

体験や活動を主としてきた授業を深い経験につなぎ、音楽性を深化させること
歴史の点描ではなく文化変容へと視点を転換し、音楽や文化を通史的に捉えること

 ③固有性と共通性といった視点を推進し、俯瞰的な視野を持った横断的な授業構成をすること
④三点比較など、音楽を複眼的に観て、音楽文化の多様性と創造性を学ぶこと

このためには、教授Teachingから対話Dialigue、さらにTrialogueへと授業を変えていくことが必要となろう。

口唱歌の教科指導や教育においての可能性から今後授業で求められる展望まで、先生方が交流を深め学び合いや研究することができる環境を益々充実させ、他県との交流にも繋げて行けるような講演会となりました。詳細は音楽研究をご覧下さい。

 参加者
(敬称略・順不同)

清水 郁代(吉井)    大熊 信彦(太田女子)  上田 裕信(太田東)  東 喜峰 (前橋)

住谷 伴(前橋商業)   森田 尚子(前橋東)   兒玉 理紗(高崎女子) 須田 諭美(吉井)

黒岩 伸枝(高崎)    安斉 太(高崎商業)   伴野 和章(太田東)  橋詰 詩織(太田女子)

斎藤真里奈(沼田女子)  坂本 将(館林女子)   野口 瑞穂(大間々)  紺野 裕子(伊勢崎清明)

井上 春美(藤岡中央)  勝山 英城(万場)    五十嵐桃子(長野原)  川上 寛子(玉村)

引田 麻里(市立太田)  藤嶋 啓子(関東学園)  鈴木香奈子(桐生南)  小川 唯佳(利根商業)



平成30年度 第3回 授業研究会

平成31年1月29日(火)、群馬県立玉村高等学校において、川上寛子教諭による音楽の研究授業が、「箏を奏でよう~たまむら歌留多に ふしをのせて~」という題材名で行われました。



授業研究係より、
研究授業を観る「研究協議の視点」として、告示された次期学習指導要領を踏まえて次の3つを提案しました。

1.課題の質やレベルは、本時の目標を達成するために適切であったか

2.本時の展開で、主体的・対話的で深い学びとなっていた場面はどこか

3.「育成を目指す資質・能力」、「評価の観点のイメージ」、「新学習指導要領」と関連する指導と評価の計画はどこか



研究協議では、各グループから以下のような意見が出されました。

・授業全体を通して生徒と教員との対話が常にあってよかった。それが主体性につながっていた。

・生徒の発言を受けて展開につなげ、生徒の自己肯定感を高めていて、生徒が自分たちで取り組みたいという気持ちも高まっていたと感じた。

・イメージを言葉にすることの難しさを感じた。内容を深めようとするとさらに課題があると思われるが、本時では生徒の実態に合わせた指導となっていた。

・生徒の「馴染みがある」という発言の部分を取り上げて、深めてもよかったと感じた。

・音楽の授業以外で、生徒がもっているイメージを生かしたり深めたりできるのがよい。教科横断的な授業としても生かせるもので、様々な深まりがあった。

・生徒と教員との関係性がとてもよく、その対話で授業内容が深まっていたが、生徒同士の対話による深まりがさらにあるとよいと感じた。

・楽器環境が整っていて、聴き比べなどができて、授業中の生徒の発言も多く、雰囲気よく進んでいた。

・地域と関連する教材を使って題材を指導し、学習するのがよかった。生徒それぞれがイメージをもつことは、トレーニングのように指導していくと、さらに音楽の言葉の広がりが出てきたり、音楽を形づくっている要素についても他の題材でも活用できたりすると感じた。

・歌留多の札を読む際に、生徒も教員も音階に合わせて読み方が変わっていたので、それを創作の学習の際に生かせる方法を考えていきたい。

・教員が「次はこれをやる」と伝えるのではなく、「次はどうする?」ときいて授業を進めていたことが特によかった。

・生徒指導がよく行き届いていて、学校のよさが伝わった。教員の温かみが感じられた。

・箏の音色を大切にしていることが、生徒の演奏に表れていた。

・楽しい授業で、授業の展開の仕方に工夫を感じた、生徒の指名の方法がよかった。

・評価が難しいと感じた。

・全員がさらに学習内容の中に入っていくという意識をもてるようにすることも大切だと感じた。

・生徒が意見を出しやすい雰囲気だった。

・生徒が、感じ取った音階の雰囲気を説明する際の教員の言葉かけがよかった。

・音階選びを範唱と一緒に行えたのがよかった。

・楽器の準備などが大変だが、生徒も仕組みが分かると楽しいと感じられると思った。しかし時間配分が難しい。

・生徒指導と良い雰囲気の指導の境目が難しい。

・生徒から「中国っぽい」という発言が出る雰囲気や、感性がとてもよいと感じた。

・箏にシールを貼ったり、3列に並べたりするなど、生徒の目線での配慮がされていた。

・今後、歌留多の言葉から創作を行うことは難しいように感じた。

・生徒が移動する場面や唱歌の場面で、初めから班として何を行うのかを決めておいた方が、学習がスムーズだったように思う。

・それぞれの調子のイメージを初めに確認して知識を身に付けてから、歌留多を選んでもよかった。

・生徒全員とさらにやりとりができるような工夫が必要だと感じた。

・グループの評価になってしまう心配もあり、その評価の方法も難しいと感じた。


・「ふしづくり」までは到達できなかったが、歌留多に合った音階を選べる流れは適切だった。

・実際に試しながら選ぶことで、聴く→考える→組み立てるという展開ができると感じた。

・教員が生徒とうまくやりとりをしながら授業を進めていた。我慢強く、コミュニケーションを大切にしていた。

・朗読しながら、それぞれの調子の音階の箏を弾く場面は、本時の授業で生徒が最も集中していた。

・40名弱の生徒だったが、教員が生徒全体をよく見て、ぞれぞれの反応を拾っていたため、生徒の数はもっと少なく感じた。

・「さくらさくら」の弾き比べは、これまで練習してきたからこそ、生徒の反応がよかった。

・活動の自由さの中に、生徒が集中したり生徒の心が動いていたりするタイミングが何度もあった。

・教員のポジティブな言葉かけがよく、生徒の自然な関係が、生徒の心を開いていた。

・創作の手順を問いかけて、生徒から挙がった意見を示すという手立てが適切で、生徒の実態に合っていた。

・板書がシンプルで分かりやすかった。

・音の特徴を捉えるための環境づくりや授業展開についても必要だと感じた。

・内容や質は適切だったが、教員のやりたいことが多過ぎてしまった印象だった。

・「試してみよう」という場面が、もう少しスマートになれるとよかった。

・「さくらさくら」を各調子で演奏するのは、最後の1フレーズでも変化が感じられるため、その部分だけでもよかった。

・イメージを言葉にしたり音にしたりする学習は、レベルの高い内容だったと感じた。

・生徒は学習のゴール地点が見えないまま教員についていっていたように思う。

・生徒の発言は質が高いものも多かったが、そうでない生徒もいた。

・どんな風に「ふし」を付ければよいかということを、さらに具体的に示せるとよかった。

・創作は、言葉に対する「ふし」なのか、全体的なイメージなのかが分からなかった。

・各調子の音を聴いて、生徒の中にイメージはできていたように思う。

・授業内容の理解が困難な生徒に対する言葉かけや、生徒の発言の仕方がよく、対話的な授業だった。

・授業で扱っていた3つの調子は似ていたが、これらを選んだのはどうしてか疑問に感じた。調子の性格の異なるものを選んでもよかった。

・調子の雰囲気について、「少し違う」という印象では、日本らしさ、郷土の音という観点から選択することは難しいと感じた。

・歌留多も8種類あり、多いように感じた。

・箏は音が限定されていて創作を行いやすいと感じた。

・楽曲のまとめ方や音の着地点に、日本らしさを出せるとよい。



研究協議後の指導・助言では、新潟大学教授伊野義博先生、群馬県教育委員会より島田聡高校教育課指導主事、本部会より上田裕信副部会長、大熊信彦副部会長から、それぞれ今後の参考となる貴重なお話を頂きました。

詳細は研究紀要を参照下さい。

参加者
(敬称略 順不同)

清水 郁代(吉井)    大熊 信彦(太田女子)  上田 裕信(太田東)  島田  聡 (教育委員会)

勝山 英城(万場)    兒玉 理紗(高崎女子)  住谷 伴(前橋商業)  黒岩 伸枝(高崎)

引田 麻里(市立太田)  橋詰 詩織(太田女子)  角田 幸枝(榛名)   五十嵐 桃子(長野原)

森田 尚子(前橋東)   武井 康博(伊勢崎商業)    安斉 太(高崎商業)  鈴木 香奈子(桐生南)

小川 唯佳(利根商業)  東 喜峰(前橋)     須田 諭美(吉井)   伴野 和章(太田東)

近野 裕子(伊勢崎清明) 藤嶋 啓子(関学附)   井上 春美(藤岡中央) 野口 瑞穂(大間々)

小川 良介(四ツ葉学園) 松平 康子(尾瀬)    川上 寛子(玉村)   坂本 将(館林女子)

文責:坂本 将(館林女子)

群馬テレビの番組で部会演奏会歌劇「みづち」のPR

 平成31年1月31日(木)20:00から放映された群馬テレビニュースeye8の番組内で、2月10日(日)に高崎シティーギャラリーコアホールで開催される部会演奏会 歌劇「みづち」のメインキャストのみなさんに出演していただき、演奏会のPRをしていただきました。

※写真をクリックすると、YouTubeで放送動画を見ることができます。

当日、音楽監督と演出を担当する朝倉康雄先生(前橋西)、主役の小太郎役の塚田孔右先生(太田工)、夕月姫役の田中ちひろ先生(高崎高等特別支援学校)、みづち役の住谷伴先生(前橋商)、黒姫役の大小原美幸先生(高崎高等特別支援学校)に出演していただきました。本番一時間前に集合して、小太郎役の塚田孔右先生と夕月姫役の田中ちひろ先生には、舞台衣装で出演していただくために、大小原美幸先生に着付けをしていただきました。その後、慌ただしくリハーサルを行い、いよいよ20時20分から本番がスタートしました。キャスターの吉田学アナと三隅有里子アナの、ベテランならではの気遣いに満ちた暖かい雰囲気の中、番組は進行し、9分間のコーナーは無事終了しました。リハーサル終了後、急遽みづちのフライヤーを画面に挿入したり、テロップや問合せ先の変更など、慌ただしい中で対応していただいた報道局次長の瀧本義久さんには本当に感謝いたします。番組を見た方が一人でも多く来場していただけることを楽しみにしています。

第20回音楽部会演奏会 歌劇「みづち」案内



1 日  時  平成31210日(日)

        開場1600 開演1630 (終演予定1830

2 場  所  高崎シティギャラリー・コアホール

 

3 参加者(敬称略)

○キャスト

小太郎:塚田 孔右(太 工) 黒姫:大小原美幸(高高特) みづち:住谷  伴(前 商)

夕月姫:田中ちひろ(高高特) 八重:金田 知子(富 岡) 重 藤:織田 大地(中央中等

黒姫の供人:斎藤真里奈(沼女) 兒玉 理紗(高女) 小川 唯佳(利根商)

村人、武士:合唱から

 

○音楽

指 揮:朝倉 康雄(前西)

ピアノ:秋元 麻美(青翠) 山下 美保(高高特) 大谷 邦子(下仁田)

打楽器:牧野  勇(前東)

 

○合唱

ソプラノ:齋藤 千咲(高高特)  斎藤真里奈(沼 女)  兒玉 理紗(高 女)

齋藤絵里子(安 総)

アルト:力石  泉(二葉高特)  富岡 恵美(安 総)   野口 瑞穂(大間々)
     小川 唯佳(利根商)  橋詰 詩織(太 女)  五十嵐桃子(長野原・嬬恋)

テノール:青栁  亮(桐 女)  坂本  将(館 女)  岡松  亮(館高特)

バ  ス:安斉  太(高 商)  木部  誠(太フレ)  田沼 昌紀(館 林)

 

○スタッフ(部会演奏会担当)

廣澤 秀伸(前 西):総括

朝倉 康雄(前 西):音楽監督、演出総括

大小原美幸(高高特):練習会場手配、衣装

塚田 孔右(太 工):プログラム、演出

引田 麻里(市立太田):庶務、書類作成、練習計画管理、演出

鈴木香奈子(桐 南):チラシ・ポスター、チケット

野口 瑞穂(大間々):会計


4 入場料 一般 1,000円  高校生以下 500


5 後 援

 群馬県教育委員会、上毛新聞社、FM GUNMA、日本放送協会前橋放送局、群馬テレビ

歌劇「みづち」作品概要

歌劇「みづち」作品概要

1 あらすじ



―― 第一幕 ――

 今から約千年も昔のこと、とある美しい平和な村には、深い沼の底に住み、雲を呼び、雨を降らせて村に豊かな恵みをもたらし、民を見守る、水を司る伝説の神「みづち」が守り神として祀られていた。その平和な村に、異変が起こる。
 数年後、長く続く日照りにより、田畑は干上がり作物ができず、草木は枯れ果て、美しく平和な村は滅びかけていた。困り果てた村人たちは話し合い、水乞いの祭りを計画する。
 村人たちが祭りの準備をするなか、小太郎という若者が、どこからともなく現れた不思議な老人に呼び止められる。その老人は、北にある黒姫山を指さし、人間の身勝手な欲望によってみづちに異変が起こったことを告げる。はじめは迷信だと相手にしなかった小太郎も、やがて老人に説得され、みづちを訪ねる決意をする。
 愛する村を救うため、小太郎は姉の八重や村人たちに見送られ、住み慣れた村を旅立った。


 ―― 第二幕 ――

 険しい山を登る道中、小太郎は道に迷ってしまう。道案内をするという小鳥に言われるがままついていくと、そこには黒姫と名乗る女性が待っていた。
 黒姫は、みづちが人々を見守る神のような存在であり、そのみづちが、押黒族という部族に捕らえられてしまったことを小太郎に伝える。このことを聞いた小太郎は、みづちを一刻でも早く救出すべく、足早に黒姫の元を発つ。

―― 第三幕 ――

 夕月姫の部屋。彼女は空を見上げながら、美しい大地と、今は亡き母親に想いを馳せる。夕月姫は旅の途中で出会った小太郎に恋をしており、合戦に出向く小太郎の身を案じていた。
 夕月姫はみづちを救出するために必要な「水藻の衣」を織り上げていた。みづちが纏うであろうこの美しい衣を前に、夕月姫は「想う人の衣に髪を織り込むと無事に戦から戻る」という言い伝えを信じ、小太郎のために自分の髪を織り込めたらどんなに良いだろうと、秘めた想いを吐露する。
 そんな小太郎も、実は夕月姫を慕っていた。二人は互いの将来を誓うとともに、夕月姫はある決意をする。

 合戦の日。いざ出発しようとした小太郎たちの前に、髪を切り落とし、戦装束に身を包んだ夕月姫が現れる。夕月姫を含め、戦場に出て行く小太郎たち。みづちが捕らわれている岩場へたどり着くと、そこにいたのは、小太郎が村で会った不思議な老人だった。夕月姫が織った水藻の衣を纏うと、すっかり弱り果てていたみづちは、たちまち命を吹き返し、本来の姿を取り戻す。
 助け出されたみづちは、天の声として「自然の営みを壊してはならぬ。ふるさとを守り、自然を育み、この美しい地球を子々孫々まで伝えよ。人間たちが二度と同じ過ちを犯すことのないように。」と言い残し、再び沼の底へと沈んで行くのであった。


 2 主な登場人物

小太郎  この作品の主人公。鳥と会話することができる勇敢な若者。冒険の中で大きく成長を遂げる。

八 重  小太郎の姉。両親は既に他界しており、小太郎と2人で育った。

黒 姫  黒姫山にいる神秘的な女性。みづちの手伝いをしているらしい。
みづち  黒姫山の沼の底深くに住む水の精霊。雲を呼び雨を降らせる。
     人間たちを見守っていたが、押黒族に捕えられてしまった。小太郎に助けを求める。

重 藤   弓の巧みな部族の頭領。一人娘の夕月姫を溺愛しており、彼女の駄々には滅法弱い。

夕月姫   重藤の娘。小太郎に恋をしている。長い髪を持つ美しい娘だが、美しいだけではないようで…。


3 概要

平成13年に群馬県で開かれた第16回国民文化祭に向けて、脚本丹治富美子、作曲白樫栄子が担当して創られたオペラ作品。同文化祭で初演の後、新国立劇場をはじめ各地で公演。平成20年の全国高等学校総合文化祭(ぐんま総文)で高校生が公演したほか、地球環境への関心の高まりのなかで、大学などでも公演されている。

 

主人公の小太郎は旅をしながら自然の営みの深さに気づいていく。「みづち」を探す旅は、人類がこの地球上で生きていく答えを見つけ出す旅でもあった。便利さを追い求め、加速し続ける文明のあり方に、ふと立ち止り、真の豊かさの意味を問うシグナルの役割を果たすことができたらと思う。


平成30年度夏季研究会

夏季研究会

日 時  平成30年8月24日(金)9:30~16:30

会 場  群馬県立吉井高等学校 演奏室
1 報告発表

「平成30年度伝統音楽指導者研修会」に参加して

報告者:井田 有希子 伊勢崎工業高等学校 教諭

    野口 瑞穂  大間々高等学校 教諭

  平成12年から文部科学省で伝統音楽の鑑賞研修が始まり、実技を中心として行われている。受講者が生徒となって楽器を教わるという研修で、自分の学校の実態に合わせてどのように授業に取り入れるか考えやすい研修であった。

  〇小鼓実技

 小鼓の構え方は、左手で持ち、右肩へ乗せる形となる。叩き方は、「タ」を叩くときは、小鼓の調べを左手でしっかりと握り(革を張る)、右手は薬指のみで叩く。「ポ」は小鼓の調べを握る左手を少し緩め、右手の人差し指から小指までの4本で叩く。親指を内側に入れて、ふちにあて、その反動ですぐに皮から離す。叩いた直後に、ゆるめていた左手を握り、音の終わりの音程をわずかに上げる。親指を内側に入れて、フチにあて、その反動で叩き、すぐに皮から離す。「タ」は高くて小さな音で、「ポ」は「タ」より低めの大きな音になる。「ポ」は、唱歌では「トン」や「ポン」とも発音する。

 楽器や先生によって異なるが、邦楽器をやる上で、唱歌は必ず必要である。楽譜からは、拍子や拍の微妙なニュアンスが伝えづらいため、唱歌が大切になってくる。唱歌を五線に直すと、拍や流れが意図していない場所で区切られてしまうためあまり好ましくない。本物に触れることの大切さを学んだ。


2 講義
教科書と教科書制度
講 師:飯田 勉 先生(文部科学省初等中等教育局教科書課教科書調査官)

1 はじめに「教科書と学習指導要領」という演題であるが、前半は教科書と教科書制度について、後半は新学習指導要領についてお話したい。

2 教科書と教科書制度

(1)教科書について

 教科書とは「文部科学大臣の検定を経たもの、または文部科学省が著作の名義を有するもの」とされ、そこに検定という言葉も出てくる。

学校教育法第34条「小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。」とあり、教科書の使用義務があるということである。専門教科の音楽科については、教科書が発行されていないので、群馬県では準教科書として届け出されていると思う。

 (2)教科書制度について

 我が国の教科書制度は二つの大きな柱で運用されている。一つは検定制度、もう一つは無償給与制度である。小学校と中学校の教科書の裏表紙には「この教科書はこれからの日本を担う皆さんへの期待を込め、税金によって無償で支給されています。大切に使いましょう。」と書かれている。

(3)教科書検定の趣旨及び方法等について

教科書検定では、調査の結果をもとに、審議会による審議・合否判定が行われる。全く問題がなければ合格となるが、多くは判定留保となる。その後、発行者に対して検定意見を通知し、それに基づき発行者が修正したものが提出され、もう一度審議を行う。

 検定を行うに当たって、教科用図書検定基準が設けられていて、それに合わせて検定を行う。様々な条件があるが、教育基本法に則ることはもとより、学習指導要領の総則や教科の目標、内容、内容の取扱い等に示す事項を不足なく取り上げているかが、最重要である。

3 新学習指導要領について

(1)改定の基本的な考え方など

(2)芸術科「音楽」等の改訂の趣旨及び要点

 ① 目標及び内容構成の改善

 小学校、中学校、高等学校の教科の目標を確認してほしい。まずは目標について、中学校を例に見ていきたい。まず、音楽科で育成を目指す資質・能力を、生活や社会の中の音や音楽、音楽文化と豊かに関わる資質・能力としている。その上で(1)知識及び技能、(2)思考力,判断力,表現力等、(3)学びに向かう力,人間性等に関することが示されている。つまり、生活や社会の中の音や音楽、音楽文化と豊かに関わる資質・能力とは、(1)知識及び技能、(2)思考力,判断力,表現力等、(3)学びに向かう力,人間性等に関することのそれぞれであるということである。資質能力の育成は、表現・鑑賞の活動、幅広い活動を通して行う。そこで生徒が「音楽的な見方・考え方」を働かせて、学習活動に取り組むようにすることが重要である。このことによって、生徒が教科・科目としての音楽を学ぶということになる。これを基に改めて高校を見ていただきたい。高校は教科芸術であるため、まず芸術の目標が書かれ、その後に「音楽Ⅰ」が続く。 

次に、小学校、中学校、高等学校のそれぞれの目標を比較してみてほしい。一貫しており、校種が進むにつれて深化していることが分かる。各校種間で接続され、継続的・発展的に音楽における力(資質・能力)を育成していくということが見て取れる。このことは従前からそうであったが、今回の改訂でより分かりやすく、かつ明確になった。芸術科や「音楽Ⅰ」などを理解する上で、時には中学校の目標や指導内容がどうなっているのか、確認してみるとよい。

内容の構成については、小学校[第5学年及び第6学年]の歌唱、中学校[第1学年]の歌唱と高等学校芸術科「音楽Ⅰ」の歌唱を取り上げて、どのように変化しているのかを見ていきたい。また、現行の「音楽Ⅰ」の歌唱とも比較していただきたい。(1)歌唱のアには思考力,判断力,表現力等、イには知識、ウには技能が書いてあり、鑑賞では技能は示されない。これは小学校、中学校、高等学校全て同じである。一方、現行は活動ベースで書かれている。

[現行 ウ 様々な表現形態による歌唱の特徴を生かし,表現を工夫して歌うこと]を指導する題材を少し具体的に想像して、それと同じような指導が新学習指導要領でできるかを考えてほしい。例えば、二重唱をしよう、グループで民謡を歌おう、という題材を扱う時、新学習指導要領ではどのように行うのか。新学習指導要領で実施しようとすると、1つの題材でア、イ、ウ全てを扱わなければならないことに気付くと思われる。このことは、新学習指導要領の「音楽Ⅰ」の「3 内容の取扱い(2)」に示されている。題材を構想、設定するに当たって、歌唱であれば、ア、イ、ウそれぞれを組み合わせて扱っていかなくてはならないということが分かる。

 ② 学習内容、学習指導の改善・充実

  「知識」及び「技能」に関する指導内容の明確化

知識(=曲想と音楽の構造や背景などとの関わり及び音楽の多様性について理解すること)と技能(=創意工夫を生かした音楽表現をするために必要な技能を身につけること)の習得に関する指導内容が一層明確になったといえる。

○ [共通事項]の新設

小学校、中学校においては従前からあったが、高等学校では新設された。もちろん美術や工芸、書道にも共通事項が示されている。これらをA表現、B鑑賞と併せて適切に指導する。新設ではあるが、すでに今までに同じようなことを行ってきているはずである。(例えば現行の「歌唱」のエを参照)今回の改訂で、従前の趣旨を継承しつつ、一層明確にしたということになる。なお、「音楽を形づくっている要素」は中学校と同じである。解説等で再度確認願いたい。

○ 「主体的・対話的で深い学び」の実現

芸術科の中の最後のところ(第3款)に、「指導計画の作成と内容の取扱い」がある。その最初に書かれている「1-(1)」が新設であり、重要である。解説に細かく説明されているので、ぜひ見てほしい。

 題材など内容や時間のまとまりを見通して,その中で育む資質・能力の育成に向けて,生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図るようにすること。その際,各科目における見方・考え方(音楽的な見方・考え方)を働かせ,各科目の特質に応じた学習の充実を図ること。

(3)芸術科(音楽)及び音楽科について

 「音楽Ⅲ」において、現行学習指導要領では、2領域4分野(歌唱、器楽、創作及び鑑賞)から1分野以上扱うこととしていたが、新学習指導要領では、「音楽Ⅱ」に近い形で、2領域2分野(歌唱、器楽、創作から1つ以上と鑑賞)となった。

(4)その他

 現在の教科書は現行の学習指導要領での2巡目の教科書となる。先入観にとらわれず、教科書をじっくり見る時間を取ってみてもよいのではないか。学校や生徒の実態は様々なので、教科書をどのように活用するかが大切である。最後になるが、学習指導要領を十分に理解するとともに、生徒の実態に応じて、教科書の活用を含め、指導する側が創意工夫することが大切であり、それらを生かして授業改善を一層推進していただきたい。



 講義・演習
新学習指導要領に向けた題材構成について
講 師:島田 聡 先生(群馬県教育委員会高校教育課)

 1 はじめに

 本日は、現行と新しい学習指導要領との関連性を確認しながら、平成34年度からの円滑な実施に向けた準備としたい。

2 演習 ~新学習指導要領から事例を読む~

 「教育音楽 中学・高校版」6月号に掲載されている記事を読み、話を進めていく。

表現領域では、武満徹作曲の「小さな空」を教材とする指導事例が掲載されている。楽曲の雰囲気が音楽を形づくっている要素とどのように関わっているのかなどを思考し、その先に「この楽曲をどのように歌いたいか」について技能と関わらせながら試行錯誤していく事例である。また、鑑賞領域では、思考の対象・理解の対象が明確になり、指導事項も構造化されたことにより、学習指導の質的改善が期待できるとしている。能楽と歌舞伎との関わりについて思考する鑑賞事例では、既習の知識と新たに理解した知識が結びつき、知識が再構築されていく。それにより、根拠をもった思考や社会における音楽の価値についての思考を深めていくことができる。

表現領域と鑑賞領域を関連付けた題材について、協議する。

この時間からは、学習活動と資質・能力との関連を考え分類していきたい。(「A 歌唱」に関わる資質・能力、「B 鑑賞」に関わる資質・能力、[共通事項]に関わる資質・能力)グループで協議し、何人かの先生に発表していただく。

前橋女子:金田先生   2時間目の2-1については、技能は尚早と考えたため、共通事項イと判断。

長 野 原:五十嵐先生 2-3から歌唱のイ(ア)が視点として入ってくるのではないか。

 協議する中で感じたことと思うが、学校の状況や生徒の実態により様々な考え方があったと思う。重要なことは、生徒がどのように思考・判断し、知識や技能を身に付けていくかなどについて、教師が明確に意識することである。題材全体を構成する中で不要な活動はないか、また、生徒がより円滑に思考するためにどんな言葉をかけ、どんな学習活動が必要となるか、といった視点を持ち、授業改善を実施してほしい。

このように、新学習指導要領で指導事項が構造的に示されたことは、今後の授業改善の視点として生かせるものであり、群馬県全体で研究を深め、授業改善に取り組むことで、平成34年度に向けた準備としてほしい。


 4 講義・実技演習

歌劇「みづち」作曲者からのメッセージ

講 師:白樫 栄子 先生

 1 はじめに

作曲家として話をするのは初めてなので、精一杯つとめたい。「みづち」は、1999年国民文化祭の時に、県民オペラを作りたいという話をいただき作曲した。平成12年に初演し、平成16年に新国立劇場で上演した。

その後、吉井高校の生徒が、学校の創立30周年記念公演で上演するなど徐々に成長を重ね、全日本音楽研究会群馬県大会で上演し、今回の群馬県高等学校教育研究会部会演奏会で上演するに至っている。

(平成17年当時の)吉井高校の生徒たちによる「みづち」の上演映像は、素直な表現で旋律の美しさや音楽に込められたメッセージをダイレクトに表しており、大変参考になった。

(白樫先生より)

・脚本を作られた丹治先生の物語のイメージが「宇宙」「自然」「愛」の3本立てであったことを念頭に曲を作った。冒頭のピアノ前奏は、1つの星からだんだんと星空が広がっていくイメージで作曲した。

・ベルカント唱法で歌うなど発声法にはこだわらないが、一番は聴くお客様に日本語がしっかり伝わってほしい。

・この人数での合唱の出来は素晴らしい。できるかぎり多くの人に歌ってほしい。

・丹治先生の台詞は短く、説明がない。そのためにそれを音楽で如何に表現するかが求められる。

・「小さい」=弱いではない。

・例えば、「たちまち雨が」であれば、「雨=あめ」という言葉の意味を踏まえ、テヌート、アクセントを表現してほしい。

・記譜する作業の上で、五連符や三連符になった歌詞があるが、あまり連符やリズムに支配されないように(特にレチタティーヴォの部分)楽に歌ってほしい。

・「そうだ」は、「そう」にアクセント。大体が「だ」にアクセントが自然についてしまう。

・「言葉のスピードで歌う」→「くろひめやまの」

・小太郎とみづちの二重唱→共演でなく、競演。ぶつかる。両方の歌詞がお客様に聴こえてほしい。

・一幕のフィナーレの拍子を四分の六拍子にした理由=“拍子の破壊”
4分の6拍子→4分の3拍子(8分の6+8分の3)と、切迫するリズムの変化を感じて表現してほしい。


5 参加者(敬称略・順不同)

清水郁代(吉井)大熊信彦(太田女子)上田裕信(太田東)廣澤秀伸(前橋西)東喜峰(前橋)朝倉康雄(前橋西)住谷伴(前橋商業)児玉理紗(高崎女子)須田諭美(吉井)戸松久実(吉井)青柳亮(桐生女子)伴野和章(太田東)斎藤真里奈(沼田女子)田沼昌紀(館林)坂本将(館林女子)秋元麻美(渋川青翠)金田知子(富岡)野口瑞穂(大間々)勝山英城(万場)五十嵐桃子(長野原)川上寛子(玉村)柳田絵美子(館林高特)引田麻里(市立太田)藤嶋啓子(関東学園)力石泉(二葉高特)後藤順子(前橋南)鈴木香奈子(桐生南)金田英樹(前橋女子)塚田孔佑(太田工業)竹澤敦(太田フレ)小川唯佳(利根商業)

平成30年度 第2回 授業研究会

平成30年11月15日(木)、県立太田高等特別支援学校において、北爪優香教諭による音楽の研究授業が、「合唱・器楽合奏~イメージをもって表現しよう~」という題材名で行われました。




(1)授業説明(北爪教諭)

 本時は文化祭に向けての最後の授業であり、これまでは音楽表現の技能に関する指導を中心に行ってきた。そのため本時では、鑑賞も取り入れながら楽曲の曲想の共通のイメージをもち、それを表現に生かせるようにしたい。曲想のイメージを表出する手段は言葉であるが、言葉を自由に用いることが困難な生徒への手立てとしてワードカードを使用する。イメージの共有活動を通し、共通のイメージをもつことで、本番に向けての意識を高め、気持ちを一つにして歌唱できることも期待している。グループ活動での生徒同士のやり取りなど、指導をしている側からは気付けない生徒の様子も踏まえてご意見を頂きたい。

(2)授業研究係より
 研究授業を観る「授業研究の視点」を授業者が本時の学習に合わせて設定し、授業研究係が提示した。研究授業後の授業研究では、各班でその視点に沿って協議を行った。

1.ワードカードを使用したことは、曲想のイメージを共有することに有効であったか。

2.曲想のイメージを共有したことは、曲想の特徴を掴んで工夫して表現することに有効であったか。

(3)授業の様子






(4)研究協議(一部抜粋)
・細かな支援をしており、自校でも実践していきたいと思えることが多くあった。
・ワードカードを使用することは有効ではあったが、自分の言葉で表出できる生徒も多かったと感じたため、自分でも考えられるようにする支援も必要だった。
・生徒の歌は、授業の最初から2曲の雰囲気が異なっていたので、ビデオに録画してそれを生徒が見ながら意見を出していってもよいのではないかと感じた。
・1曲ごとに、例えば「優しく歌う」という言葉が生徒から出た時点で試して歌い、実際の歌で何が違ったのかということや、何を変えたのかということをまとめていくなど、曲想のイメージと表現を結び付けながら学習していくことも考えられる。
・ワードカードに対して、事前に指導者が具体的に表現をして示すのも支援の一つだと感じた。
・それぞれのイメージに対して表現が実際に変化することに注目して指導を行ってもよい。
・指導者の身振り、表情、声掛けなどに無駄がない。
・グループの中で多く出されたワードカードを共通のイメージとするのはよかったが、それとは異なるイメージや少数のイメージを取り上げることで、さらに学習が深まると感じた。
・生徒自身が歌唱表現を工夫しているという意識をもてることが大切だと感じた。
・授業の最後に歌う際に、本時の授業を振り返りながら表現への具体的な言葉掛けを行っていたため、最初の歌とは全く異なる響きで歌えていた。

(5)指導・助言
 研究協議後の指導・助言では、群馬県教育委員会より
上原篤彦特別支援教育課課長、高橋玲特別支援教育課補佐)、島田聡高校教育課指導主事、狩野等特別支援教育課指導主事、本部会より大熊信彦副部会長、上田裕信副部会長、松村正史副部会長から、それぞれ今後の参考となる貴重なお話を頂いた。
詳細は研究紀要を参照。

(6)参加者(敬称略)

上原 篤彦(教育委員会) 清水 郁代(吉井)    大熊 信彦(太田女子)  上田 裕信(太田東)

松村 正史(桐生特支)  高橋 玲(教育委員会)  島田  聡 (教育委員会)   狩野 等(教育委員会)

牧野 勇(前橋東)    中澤 玲子(高崎北)   勝山 英城(万場)    兒玉 理紗(高崎女子)

橋詰 詩織(太田女子)  中村 悦子(聾学校)   前島 律子(あさひ特支) 川上 寛子(玉村)

野口 瑞穂(大間々)   伴野 和章(太田東)   大小原美幸(高高特支)  須田 諭美(吉井)

内林 美里(伊高特支)  後藤 順子(前橋南)   引田 麻里(市立太田)  藤川あさみ(伊勢崎清明)

車﨑 優香(県立伊勢崎) 北爪 優香(太田高特支) 坂本 将(館林女子)

文責:坂本 将(館林女子)

群馬県高等学校芸術祭音楽部門個人演奏会

群馬県高等学校芸術祭音楽部門個人演奏会(第42回県民芸術祭参加)

 

日 時  平成30年11月7日(水) 10:00~

会 場  昌賢学園まえばしホール(小ホール)

主 催  群馬県高等学校文化連盟・群馬県高等学校教育研究会音楽部会


 本年度も音楽の専門分野への進学を目指す者や、課外活動で練習に取り組む生徒の熱演が繰り広げられました。また、講師の本島、金井両先生より出演者にそれぞれ講評をいただきました。全体的な講評として、本島先生からは、楽譜を顕微鏡で見るかのように細かく、音符の裏に書かれていることまで正確に読み取らなければならない、また逆に遠くから俯瞰し、体や楽器をとおして自分の感情や想い、意思を伝えるにはどうすればいいかを考えなければならないとのご助言を、また金井先生からは目先の形にとらわれず、基本に忠実に、音色を追求して自分の音を作っていくことが大切とのアドバイスをいただきました。本島先生の「自分の表現が伝わったことを実感できたとき、それは最高に幸せなことだ」という言葉が印象に残りました。出演生徒の皆さんのさらなる向上に期待します。

1 内容(プログラム)

○ ピアノ部門

1 今井 彩也香(高崎女子高等学校)

   ツェルニー40番練習曲第34番                                        作曲  C.ツェルニー

   ピアノ・ソナタ 第24番「テレーゼ」 Op.78 嬰ヘ長調 第1楽章   作曲  L.v.ベートーヴェン

2 金谷 菜々香(太田女子高等学校)

   20の小練習曲 より 第7                                作曲  M.モシュコフスキー

3 小野寺 舞雪(西邑楽高等学校)

   ポロネーズ Op.26 No.1                                                      作曲  F.ショパン

4 大竹 奈夕(前橋南高等学校)

   練習曲 Op.10-4                                                               作曲  F.ショパン

5 瀬戸 凜々花(伊勢崎高等学校)

   5つの小品より白樺の木 Op.75-4

   5つの小品より樅の木 Op.75-5                                           作曲  J.シベリウス

6 神宮 晴香(高崎経済大学附属高等学校)

   12の練習曲 作品10-5

   12の練習曲 作品25-12                                                作曲  F.ショパン

7 前原 茜(桐生女子高等学校)

   ピアノ・ソナタ第8番 ハ短調 Op. 13   第3楽章                      作曲  L.v.ベートーヴェン

8 栁澤 好(太田市立太田高等学校)

   平均律クラヴィア曲集 第1巻 第17番 変イ長調 BWV862    作曲  J.S.バッハ

9 今西 眞紀(前橋女子高等学校)

   ピアノ・ソナタOp2-1  第1楽章                                         作曲  L.v.ベートーヴェン

10 富岡 日菜(太田女子高等学校)

   ピアノ・ソナタ 第8番 イ短調 K.310 第1楽章                       作曲  W.A.モーツァルト

11 藤井 彩羽(伊勢崎高等学校)

   トロルドハウゲンの婚礼の日                                               作曲  E.グリーグ

 

○ 器楽部門

1 クラリネット独奏

   廣川 実咲(高崎東高等学校)                                             ピアノ 五代 彩乃

    クラリネット・ソナタ より 第1楽章                                     作曲  C.サン=サーンス

2 クラリネット独奏

   竹部 風羽(前橋東高等学校)                                             ピアノ 髙砂 百合子

    クラリネット小協奏曲 作品26                                        作曲  C.M.v.ウェーバー

3 フルート独奏

   木村 大和(沼田高等学校)                                                 ピアノ 加瀬田 典子

    ユーモレスク                                                                   作曲  A.ドヴォルザーク

4 サクソフォン独奏

   茂原 朱良(高崎健康福祉大学高崎高等学校)

    フェルリング サクソフォンのための48の練習曲より             作曲  M.ミュール

5 フルート独奏

   柿沼 瑠那(桐生女子高等学校)

    12の練習曲 0p.33-2 第8番                                           作曲  E.ケーラー

6 クラリネット独奏

   金子 雪菜(高崎東高等学校)                                             ピアノ 西本 茉由

    クラリネット コンチェルティーノ  より                                   作曲  C.M.v.ウェーバー

7 オーボエ独奏

   河野 百花(前橋南高等学校)                                             ピアノ 藤井 由香

    オーボエとピアノのためのソナタ 第2楽章                           作曲 H.デュティール

8 フルート独奏

   小野 美雨(西邑楽高等学校)                                             ピアノ 石戸 真裕

    エレジー                                                                        作曲 J.ドンジョン

9 オーボエ独奏

   井戸 麻由佳(太田市立太田高等学校)                                ピアノ 引田 麻里

    オーボエ協奏曲 第1番 ニ短調                                       作曲  L.A.ルブラン

10 トロンボーン独奏

   秋元 健史(沼田高等学校)                                                ピアノ 加瀬田 典子

    「動物の謝肉祭」より白鳥                                                 作曲  C.サン=サーンス

11 トロンボーン独奏

   髙砂 百合子(前橋東高等学校)                                       ピアノ 竹部 風羽

    トロンボーン協奏曲 2,3楽章                                          作曲  N.リムスキー=コルサコフ

12 トロンボーン独奏

   新井 奏音(高崎健康福祉大学高崎高等学校)                    ピアノ 浅見由加李

    トロンボーン小協奏曲                                                    作曲  F.ダヴィッド

13 トランペット独奏

   黒島 あかね(太田東高等学校)                                        ピアノ 伴野 和章

    「輝く雪」の歌による変奏曲                                             作曲 J.B.アーバン

14 トロンボーン独奏

   植原 千晏(高崎東高等学校)                                           ピアノ 荒木 みのり

    トロンボーン協奏曲  より                                                作曲  N.リムスキー=コルサコフ

15 コントラバス独奏

   蘆川 里愛(前橋南高等学校)                                           ピアノ 藤井 由香

    コントラバス協奏曲 Op.3 第1楽章                                  作曲  S.クーセヴィツキー

 

○ 器楽アンサンブル部門

1 二重奏(太田フレックス高等学校)

   新井 巧  澁谷 美聖

    いつか王子様が                                                              作曲  F.チャーチル

2 フルート四重奏(前橋商業高等学校)

   松浦 愛  岩上 千莉  萩原 未帆  髙屋 優奈

    夏山の1                                                                      作曲  E.ボザ

 

○ 声楽部門

1 小林 未来(高崎女子高等学校)                                          ピアノ 今井 彩也香

   私は心に感じる                                                                  作詞 不詳

                                                                                           作曲  A.スカルラッティ

2 吉川 希成(大間々高等学校)                                              ピアノ 野口 瑞穂

   パート・オブ・ユア・ワールド                                              作詞 H.アッシュマン(日本語歌詞)劇団四季文芸部

                                            作曲  A.メンケン

   ミュージカル『レ・ミゼラブル』より オン・マイ・オウン

                                                   作詞 H.アッシュマン(日本語歌詞)劇団四季文芸部

                                            作曲  C.シェーンベルク

3 星野 茉央(渋川女子高等学校)                                          ピアノ 阿部 雪音 橋本 彩那

   側にいることは                                                                  作詞  不詳

                                           作曲  L.マンチャ

   たとえつれなくても                                                              作詞 A.M.ルキーニ

                                           作曲  A.カルダーラ

4 高橋 杏奈(高崎経済大学附属高等学校)                             ピアノ 神宮 晴香

   歌劇「タンクレディ」より“この胸の高鳴りに”                            作曲  G.ロッシーニ

5 設樂 理子(前橋女子高等学校)                                           ピアノ 塚越 弓月

   いとしい絆よ                                                                     作詞  不詳 
                                           
作曲  F.ガスパリーニ

   側にいることは                                                                  作詞  不詳

                                           作曲  L.マンチャ

6 金谷 菜々香(太田女子高等学校)                                        ピアノ 上石 唯月

   側にいることは                                                                   作詞  不詳

                                           作曲 L.マンチャ

7 寳条 あき(高崎女子高等学校)                                           ピアノ 今井 彩也香

   最後の歌                                                                          作詞 F.チンミーノ

                                            作曲 F.トスティ

 

~講師プロフィール~

 

本島阿佐子(もとじま あさこ)先生  ソプラノ

  国立音楽大学を首席で卒業、同大学院、ウィーン国立音楽芸術大学、スイス・バーゼル音楽院を修了。平成 22 年度には国立音楽大学長期国外研究員として1年間ニューヨークにて研鑽を積む。国際バッハ・コンクール第一位、国際シューマン・コンクール第二位(一位なし)、国際ブラームス・コンクール第二位、国内では第一回友愛ドイツ歌曲コンクール第一位他を受賞。日本、ヨーロッパ各地において幅広いレパートリーで演奏活動を行い、その透明感のある歌声と豊かな表現力に高い評価を得ている。日本と西洋の伝統音楽と現代歌曲の融合に挑戦したCD「いのり ~プレーヤーズ・オブ・ア・ジャパニーズ・スピリット~」、ドイツ歌曲集「リーダー ~モーツァルト/シューベルト歌曲~」、そして2017年にはサードアルバム、山下洋輔(ジャズピアノ)とのコラボ童謡・唱歌CD「メロディーズ・オブ・メモリーズ」をリリース。国立音楽大学准教授。

 

金井美奈子(かない みなこ)先生  ピアノ

  国立音楽大学音楽学部器楽学科卒業。同大学院音楽研究科器楽専攻修了。奈良場恒美、柳川守、野本弘子、小林仁の各氏に師事。また、在学中にはダン・タイ・ソン、ヘルムート・バルトの各氏にも師事。声楽、器楽の伴奏ピアニストとして数多くの演奏会に出演。本島阿佐子のファーストCDにも共演し、活動の幅を広げている。育英短期大学講師。

 

 

2 当日係役員

      総   務             清水(吉井) 須田(吉井) 鈴木(桐南)

      総   括             松村(桐特) 牧野(前東)

      受付・接待           引田(市立太田) 伴野(太東) 武井(伊商) 鈴木(桐南)

      ステージ            牧野(前東) 武井(伊商)

      アナウンス・計時      根岸(西邑楽) 引田(市立太田)

      講                   来場部会員全員

 

3 参加者(敬称略・順不同)

   島田 聡(県教委) 清水郁代(吉井) 廣澤秀伸(前西) 大熊信彦(太女) 松村正史(桐特)  

   須田諭美(吉井) 鈴木香奈子(桐南) 伴野和章(太東) 牧野 勇(前橋東) 根岸玲恵(西邑楽) 

   引田麻里(市立太田) 青栁 亮(桐女) 武井康博(伊商) 東 喜峰(前高) 金田英樹(前女)

   後藤順子(前南) 橋本征憲(前商) 兒玉理紗(高女) 稲毛信哉(高東) 橋詰詩織(太女)

   加瀬田典子(沼高) 立嶋紀理子(西邑楽) 江原美帆(高経附) 荒木奈都子(渋女)

   諏訪悠太(太田フレックス)   

                                                                                                     文責:牧野 勇(前東)                                            


 

全日本音楽教育会全国大会高等学校部会大会栃木大会(第2日)

全日本音楽教育会全国大会高等学校部会大会栃木大会の第2日目が11月2日(金)に、宇都宮市文化会館にて開催されました。

第2日目は開会行事から始まり、主催者を代表して全日本音楽教育研究会高等学校部会 九石 美智穂 部会長(神奈川県立横須賀高等学校長)からのご挨拶と、来賓を代表して栃木県教育委員会 宇田 貞夫 教育長から祝辞をいただきました。


続いて、研究発表として、栃木烏山高等学校の 宇宿 潤子 教諭による「創作 創る喜び!~リズム創作と和音からのメロディー創作」の発表がありました。






続いて、全体講評として、文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官、文化庁参事官(芸術文化担当)付教科調査官、国立教育政策研究所教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官の 臼井 学 氏 から指導助言をいただきました。
 
その後、記念演奏として古典四重奏団によるレクチャーコンサートと、邦楽ゾリステン~智世代~と宇都宮海星女子学院高等学校箏曲部による演奏が披露されました。(肖像権の都合で写真なし)

最後に閉会行事として、栃木大会実行委員長の 伊澤 栄一 氏(栃木県立盲学校校長)からの御礼のことばに続き、次年度2019年度東京大会(総合大会)と翌2020年度茨城大会(高等学校部会大会)の両開催地代表からの挨拶をもって、盛会のうちに閉会となりました。

2019年度東京大会(総合大会)一次案内



2020年度茨城大会(高等学校部会大会)案内